| Something Fine / Michiro's Jackson Browne Archives |
寡作とは言え活動歴も長いため，ジャクソン・ブラウンの作品は，タイトル数も媒体の種類や生産国のバリエーションの数も，まぁ多いとはいえないにしろ，そこそこにはあるといえます．ジャクソン・ブラウンの作品をちょっと聴いてみたい，という人にとっては，これらの中のどれを選ぶかは結構問題になるかもしれません．
そこで，まず最初の一枚を選ぶにあたってのアドバイスを，このページでは提供したいと思います．自分で言うのもなんですが，かなりおせっかいなページです．
ジャクソン・ブラウン名義で正式にリリースされたオリジナル・アルバムは，現在すべて新品で手に入ります．TOWER RECORDSや HMVのような大型店ではもちろん，地元のお店で在庫がない場合でも，正しく注文すれば入手できます．僕のページの各アルバム紹介のコーナーでは，国内盤CDのカタログ番号を掲載しているので，参考にしてください．
じゃどれを買えば，って話になりますが，僕のおすすめは，国内盤のリマスターCDです．とにかく手に入れやすいし，音質もいいです．詳しくは以下で検討します．
ざっくり分類すれば，アナログ盤，初期プリントのCD，リマスターCDといった感じになるでしょうか．後のふたつは同じフォーマットですけれど，便宜的に別物とさせてください．
これらのうちアナログ盤については，国内盤は発売元が変わったりなんかして，細かくみるとかなりバリエーションがあるようです．またタイトルによっては高音質盤が出ていたり，ジャケット違いのロットががあったり．しかしアナログ盤そのものにこだわる方以外には，あえておすすめする理由はないように思います．僕自身も LPで持っているのは "LIVES IN THE BALANCE" までだし．
これから買うという方には CDがいいと思います．で同じタイトルのディスクでも，初期に出たロットと，最近出荷されたロットでは，音質が非常に違います．というのも最近プリントされたものは，CD向けのディジタル・リマスターが行われて，これがかなり効果をあげているのです．この種の作業は人によって好き嫌いが分かれることもありますが，彼の CDに関しては 10人中 10人が気に入るか，少なくとも悪く思わないんじゃないでしょうか．ひとつひとつの音がくっきりして，とてもみずみずしい感じに響いてくるんです．
以上の理由により，僕としては，どうせ買うならばもし多少高かったとしても，あえてリマスター CDを選ぶことをおすすめしたいと思います．
去年でた "The Next Voice You Hear" については，僕の知る限り米国版，日本盤，ドイツ盤がそれぞれ微妙に違った仕様で発売されました．違いについては，僕のサイトの このページで，簡単にまとめてあるので見てください．
国内盤か輸入盤か，という切り口だと，歌詞カードや訳詞の有無がポイントになってきます．これらのために国内盤を買うってのもまぁありですが，ジャクソン・ブラウン作品に限っては，今やこれはあんまり意味がないかなという気もします．
確かに輸入盤には歌詞がついてこないものもありますが，今や歌詞そのものは Webから拾ってこれる時代になりました．Tom Jackのページや Russ Parisのページに行けばいわけです．訳詞については，あると得した気持ちになれますけれど，その内容については，あくまで訳した人個人の解釈だと思ったほうがいいでしょう．中には明らかに正しくないと思われる訳や，ずいぶんと思い切った「超訳」が結構みられます．日本のレコード会社が添付しているからといって， 100%信頼できるとは思わないほうが良いようです．大切なのは，作品を自分の耳と感受性で直接受けとめることなんですから，訳詞はあってもなくても大きな問題じゃありません．
リマスターCDについては，ちょっと興味深い事実がわかっています． Digitally remasteredってことは，輸入盤も国内盤も同じ内容だろうと思っていたのですが (というか普通そう思いますよね :-) これが，違うんです．音質については，僕の耳のレベルではどちらも申し分ないのですが，CDプレーヤの表示する演奏時間が，曲によってわずかに，中には数秒違うものがあるんです．これがアナログ盤なら，マスターの世代の違いとか生産技術の差として片づけられるかもしれませんが，ものがディジタルですから，これは別物と判断せざるを得ないでしょうね．なんでこのような違いが生まれたのかは謎です．どなたかご存知の方は教えてください．
そうそう，輸入盤 CDについて，大切なことを書き忘れていました．輸入CDでは，リマスター盤も初期プリントも同じカタログ番号なんです．僕の知る限りでは，リマスター盤にはそれを示す小さなステッカーが貼ってあるのですが，古いのには当然ありません．違いはそれだけです．だから取り寄せとか通販では，古いロットをつかんでしまう可能性があります．
その点，日本盤は，カタログ番号から違うので，注意していればはずれをつかむ危険はありません．むしろそういった意味で国内盤はおすすめです．僕のページのアルバム紹介で載せている国内盤の番号は，リマスター盤の出ている初期の 7作品については，すべてその番号になっています．
ということで，最大の問題である「どのタイトルを選ぶか」を検討してみます．
とりあえず手軽なのは，やっぱりベスト盤の "The Next Voice You Hear" でしょう．まだ出たばかりなので，比較的最近の曲までバランス良く選曲されています．またわりと古い曲も最新のリマスターで収録されているので，音的には申し分ありません．
但しジャクソン・ブラウンという人は，基本的にアルバムで評価を得てきた人なので，できれば企画ものじゃないアルバムで，その真価をたしかめてほしいと思います．でどれを選ぶかって話になりますが...
すでに評価の定まっている "Late For The Sky" あたりから入られるとよいのではないでしょうか．当り障りのないおすすめですが，これは外して欲しくない作品です．
一般的にも，古くからのファンの方たちからも評価の高い作品なんですが，僕が彼の音楽に出会うのはそのずっと後でした．リアルタイムで聴いてきた作品じゃないので，個人的にはあまり思い入れをできないでいたのですけれど，このアルバムに収録された曲をコンサートで聴いたり，ベスト盤で聴きなおしたりしているうちに，やっぱりいいなと素直に思えるようになりました．
むしろ思い入れとか先入観なんかとは無関係に，ジャクソン・ブラウンの紡ぎ出す歌の世界を，直接感じ取ってほしい作品です．
尾崎豊の歌が好きな人だったら， "Running On Empty", "Hold Out" をおすすめしたいですね．尾崎豊の作品と聞き比べると，彼がジャクソン・ブラウン作品を一生懸命聴いていたことがよくわかります．
リンドレーさんのプレイが目当てということなら，鮮烈な出現ぶりで "For Everyman"，その暴れっぷりで "Running On Empty" かな．そしてやっぱり "Late For The Sky" ははずせない...
11/26に，ジャクソン・ブラウンやイーグルスの 2in1パッケージが，スーパーツインズ・シリーズとして，イーストウェスト・ジャパンから発売されました．これらのうちイーグルスのパッケージを入手したので，内容について報告してみます．あくまでもイーグルスのものについての報告ですが，ジャクソン・ブラウンのものについてもおそらくは同様かと思われます．
カヴァーアート - 小さい．それぞれの作品のカヴァーイメージは，CDカヴァーのさらに 1/4以下（面積比）．解説 - なし．歌詞 - なし．クレジット - 曲名と原題，作曲者名の一覧があるのみ．ディスク - 2枚組．一枚ものの CDと同じ厚さのケースに入っている．
いちおう国内盤なんですけど，感じとしては何もついてない輸入盤を買った気分です．ディスクそのものは Made In Korea と表示してありました．ジャクソン・ブラウンのディスクがリマスター盤かどうかは，パッケージの外観からはちょっとわかりませんでした．