Running On Empty The Road Rosie You Love The Thunder Cocaine |
Shaky Town Love Needs A Heart Nothing But Time The Load Out Stay |
発表年: 1977 カタログ番号: Asylum 113 プロデュース: Jackson Browne |
国内盤: 「孤独なランナー」 WPCR-665
邦題: 「孤独なランナー」(A1), 「時に願いを」 (B3) |
ジャクソン・ブラウン第5作は,初のライヴ録音作品.1977年に発表されました.
言葉をならべて音楽をあれこれ批評するのはふつう野暮なことで,この作品についても音楽を音楽として楽しめばよいと僕は思います.
一応聴きどころを説明するとすれば,収録された曲が,このアルバム用に書いたと思われるものも含め,すべて過去のアルバムに未収録の作品ばかりだということ.それらの中に,珍しくカヴァー曲がいくつも含まれていること.ライヴ録音ならではの,開演前の緊張感やアンコール時の盛り上がりなんかが再現されていること,あたりでしょうか.
今回のツァーではリンドレーとダグ・ヘイウッド以外のバンドのメンバーを一新し,ジェイムズ・テイラーのセッションで名を上げたザ・セクションと,シンガーのローズマリー・バトラーを迎えています.この猛者ぞろいのバンドのサポートは強力かつ華もありで,一曲目からガツンとぶちかましつつ静かな曲ではしっとり聴かせ,ダルい部分は完璧にへろへろしつつ,最後に盛り上げるところは思いっきり盛り上げと見事なもの.最後のアンコールまで安心して身を任せてしまいましょう.
でもそうやって単なるライヴアルバムとして楽しんでいるうちに,聴く人はいくつかのことに気がつくかもしれません.それをここで書いてしまうと楽しみがなくなるので書きませんけれど,このアルバムは実はかなりコンセプチュアルな作りになっていて,いろいろ聴きこむとさらに楽しめるようになっています.とりあえずキーワードは「旅」とだけ書いておきましょう.
そうそう,このアルバムはまた,前作までに確立してしまったらしい「真摯に悩む若者」というイメージをあっさり裏切ってみせた作品でもあります.もちろん A1が突き抜けてゆく意志を曲全体で表現したものであるのは一聴すればわかることだとしても,A5は題名通りある種の薬物を歌ったものだし,A3にいたっては... ですものね.あるいはこのアルバムで彼は,本当のエヴリマンになろうとしたのかもしれないという気がします.
いちおう補足するなら,今はA5はステージでリクエストされても決して歌わないし,歌う時でも歌詞を思いっきり変えているようです.この習慣はすでに断ち切ったようですが,そのためには親友の死という代償を払ったようです.